「どうだ? 蓮。おいしいか?」
猛はにこにこしながら蓮が食事をしている様子を眺めている。今、彼らの前には豪華な料理がバイキング形式テーブルに並べられていた。ハンバーグやエビフライ、ピザにフライドポテト等々……。
蓮がどんな料理が好きなのか分からなかった猛がわざわざレストランにオーダーして用意させたものであった。
「うん。とっても美味しい!」
蓮は大喜びで自分の好きな料理を取り分けて貰って食べている。その様子はとても幸せそうだった。
「会長と蓮君……とても良い雰囲気ですね」
朱莉の隣の席で食事をしていた修也が話しかけてきた。
「はい、そうですね。会長があんなにも蓮ちゃんを可愛がってくれるとは思いもしませんでした。でも改めて思いました……。蓮ちゃんは……」
朱莉はそこで口を閉ざした。その横顔は、修也の眼にとても寂し気に映った。
「朱莉さん? どうかしたんですか?」
「あの……私、本当はここにいてはいけない人間じゃないかって思ったんです」
「え? 朱莉さん、一体何を言ってるんですか?」
「いえ、何でもありません。気にしないで下さい」
朱莉は顔をあげて修也を見ると笑みを浮かべるのだった――
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それから2時間後―
すっかりお腹が一杯になってしまった蓮は、ソファの上で眠っている。蓮の様子を見ると猛は朱莉に言った。
「朱莉さん。今度は蓮を連れて是非我が家にも遊びに来てくれ。蓮の為の部屋も用意しておくし、遊び道具も用意しておくから」
猛はすっかり蓮の事を気に入ってしまったのだ。
「そうですね。今度是非伺わせていただきます」
朱莉は丁寧に頭を下げた。
「よし、それではそろそろ帰るか」
猛の言葉で朱莉は蓮を抱き上げようとすると、修也が声をかけてきた。
「いいよ、朱莉さん。蓮君なら僕が運ぶから」
「すみません。ありがとうございます」
修也は笑みを浮かべると、次に猛に尋ねた。
「会長、この後のご予定はどうなっているのですか? どこかご挨拶周りがあるようでしたら……」
「いや。そんなものは無い。今日はこのまま家に帰るつもりだから修也も気にするな。修也も朱莉さんも蓮がまだ眠っているんだから、それまでここでゆっくりしていくとよい。この部屋は今日は1日貸し切っているからな」
「お心遣い、どうもありがとうございます」
朱莉は改めて猛に礼を言う。
「いいや、それではまた会おう」
「会長、お